このブローチは作り続けて15年以上、嘘とミシンの作品の中でも古株のブローチです。
「肖像画のようなウサギのブローチを作りたい」と思ったのが最初で、フリルの襟やリボンのヘッドドレスをつけているうちに彼女たちになんだか高貴な雰囲気を感じたので「貴族うさぎ」と命名しました。
たしか「貴族うさぎ」と「ロマンティックガーランド」をいくつか作って札幌の地下歩行空間のマルシェで販売した時が、彼女たちのデビュー日だったかと記憶しています。
高校時代の友だちが買いに来てくれて、すごく嬉しかったのを今でも忘れてはいません。
「うさ貴族」の後に生まれた「ねこ貴族ブローチ」も合わせて今回は6点のみになりますが、ギャラリーに並べます。
このブローチは、後ろ側のどこかにネコ柄やウサギ柄の生地を使用しています。
また、一匹ずつにつけた名前とそれぞれの出身地をタグに明記しています。
持ち主となる方にずっとかわいがってもらえるように、との願いを込めて。
さて、わたくしは今月またひとつ歳を重ねました。
誕生日祝いのディナーの場所を家族にリクエストしていました。
菊水という町にあるビストロで、前から車で通りかかるたびに
パリの街角としか思えないこの外観が気になっていました。
名店の香りがぷんぷん。
その勘は大当たりで、プリフィクス式のメニューには、
フランスのビストロの王道料理がずらっと並んでいました。
選ぶのにちょっと迷いましたが、一皿目は大好きなエスカルゴを。
おいしかったーー!
お店の外に実っていたぶどう(キャンベル)をデザートの一部にしたと仰る
ギャルソンのおじさまも気取らず家庭的で、
でも紳士な態度は崩さないすてきなサービスをしてくれました。
きちんとした銘柄のグラスワインも、昨今の物価高からは信じられないほど控えめなお値段。
これはまたおじゃましなければ、と思わされる名店でした。
Bistrot Petite Région
https://www.petite-region.com/
2003年。息子が生まれた年に祖母が買ってくれた真っ赤な木馬。祖母は他界し、息子はもう木馬にまたがることができないくらい大きく成長したけれど、スッとしたお顔立ちで頑丈なドイツ生まれのこの木馬を捨てるなんて私には考えられず、今は私の部屋で生息しています。
「そうだ思い切って色を変えて、個展の会場でインテリアとして活躍してもらおうじゃないか」そう思いたち、こうしてきれいなピンク色のペンキを塗って生まれ変わらせました。
カゴバッグに吊るしているものはフォークとスプーンの形をしたカトラリーチャームです。
近所の公園の木の枝にひっかけてみました。
カトラリーチャームはバッグにつけたりクリスマスツリーのオーナメントのように使ってもいいし、
壁に一本だけ吊るしても華やかなインテリアになります。
ちなみにフォークは形が面白いからか、スプーンよりも人気があります。
ですので展覧会ではフォークの方を多めに作って展示します。
「材料のお話」
スパンコールとベルベットのリボンの手持ちが少なくなってきたので買い足そうと、大好きな手芸店へ。
そこは、選りすぐりの手芸材料を一粒、少量ずつから販売してくれる
札幌には珍しい個人経営のお店なのです。
店主に「少し大きめのスパンコールはありますか?」と訊ねると
「あー最近あんまり大きいのは流行してないから入ってこなくて…あ!今出してないけどあったわ!」と言って
ストック棚からたくさんの大きめスパンコールを何十種類も出してきてくれました。
四角いの、細長いの、プリングルスみたいなボーダーの彫りが入ったもの…
変わっていてあまり売れず、メーカーでも今後作らないという
珍しいスパンコールが私には全部宝の山に見えました。
そこから店主としばし「手芸雑談」をさせてもらって。
そのお喋りから強く思ったのは「良いと思ったものは迷わず買っとけ」ということでした。
気に入って選んだ小さなビーズやスパンコール、リボン、生地などの材料が
そのあと何年も私の創作活動を支える大事な名脇役になるのですから。
それにしても、ここ数年で急速に日本中から良い手芸店が無くなったり
お店側が高価で個性的な材料を仕入れなくなってきたと感じます。
作家は「この材料じゃなきゃ」という強いこだわりを持って制作をしている人が多いと思います。
私も、愛用していたビーズがメーカーでもう生産されなくなってしまい、
作りたくても作れなくなったアイテムが2点ほどあります。
材料あっての作家活動です。
素敵な手芸店やバイヤーの人たちに今日も感謝しながら
大切な一粒のビーズを針に通し、ミシンで生地を縫い続けていこうと思っています。
写真は手芸店からの帰り道に通った大通公園の薔薇の花です。
「サマーメモリーズ」という洒落た名前がついていていました。
あの暑かった夏を過ごした秋の始まりに最後の力を振り絞って咲くきれいな薔薇。
私の目には少し切なく映りました。
淡いピンクにグレージュのドット。薄くて向こう側が透けて見えるような柔らかな生地を使ったかわいらしいトートバッグができました。
持ち手と内側はペールピンクのサテン生地を使っています。そしてこのバッグにはもれなく「ぶたさんブローチ」がついてきます。
そう、このBoo Boo Totebagは豚さんをイメージしてデザインしたものなんです。
2段のフリルはいつもより少し控えめ、甘さ控えめです。
ピンクのドット生地は薄手と書きましたが、芯地を貼り、持ち手の部分もしっかり頑丈に縫製し、長く使える工夫をしています。
バッグのお好きな場所につけて欲しくて豚さんは固定させずブローチにしました。
もちろん、豚さんをつけずにお手持ちのブローチやコサージュで個性をプラスしてもらえたら、
それもとても素敵です。
ところでこの豚さん、出来上がってから気がついたのですが、「ぶりぶりざえもん」に似てるような…
そう、クレヨンしんちゃんに時々登場する「ぶりぶりざえもん」です。
Boo Boo Totebagは個展「面影アパートメント」で展示販売します。
「花屋で見る夢」
夕飯の買い物帰り、ワインボトルが重かったけど「家に飾る今週のお花を買おう」と思い立ちました。
その時、贔屓にしてるお花屋さんからは少し遠い場所にいたので
「どうしようかな?あ!あそこにいこう」と 一度しか買ったことのないお花屋さんに寄ることにしました。
しかし目当てのお店は17時過ぎでもう閉まっていたのです。
この写真は閉店後の「夜のお花屋さん」の様子です。
誰もいないお店でひっそりとお花たちがこちらを見つめているような、
その美しさを「どうぞ見てちょうだい」と誇らしげに語りかけてくるような。
物言わぬ花たちからそんな気配を受け取りました。
子どもの頃、真夜中のデパートに潜入して、いろんな階を行き来して自由に過ごし、
散々遊んだあとは家具コーナーの大きなベッドで眠りたいと空想を楽しんだものですが
今、もしどこかにこっそり宿泊できるとしたら!
閉店後のお花屋さんの床に布団を敷いて、色とりどりの花たちと一緒に眠りたいと思っています。
ひんやりと寒く静まり返ったお店で、もしかしたら花たちの呼吸の音が聞こえるかもしれません。
今回の展覧会では、ひとつだけ「お子さま限定」のブローチつきポシェットも用意しています。
クマさんをモデルに絵を描く女の子の生地をメインに
裏側はピンクのファーを合わせたポシェットです。
この生地はアメリカのヴィンテージで、なつかしいアメリカンカントリーの香りがします。
上部はピンクのギンガムチェックの生地でスペースを空けているのですが、それはここに好きな缶バッジやブローチをつけてカスタマイズして欲しいからなのです。
もちろん、特製のお花のブローチはポシェットにこうして一緒につけたり、単体で洋服につけたりと自由に楽しんでもらえたらと思います。
ブローチの裏側も、ポシェット内側のタグもクマさんで揃えています。
スペシャルなたったひとつのキッズ用ポシェット。
ギャラリーには大きな鏡を持っていきます。
小さなお子さんがこのポシェットを見つけて、鏡の前で合わせてくれたら嬉しいです。
NHK連続テレビ小説「ばけばけ」
ラフカディオ・ハーンとその妻、そして怪談がモチーフなので、期待して見始めました。
思っていた以上に映像と音楽が良くて2週目にしてすでに毎朝の小さな楽しみになりつつあります。
トキ(のちのハーンの妻・小泉節子)の暮らす貧乏一家の様子も可笑しい。
とくに父上(岡部たかし)とお祖父様(小日向文世)のちょっとずれて乾いたお笑いが癖になりつつあります。
だいたいトキ(髙石あかり)の理想のタイプは「働き者の小豆洗い」ですし、そうとうユニークな主人公。
これからたくさん妖怪や物怪が登場するかと思うとワクワクします。
個展「面影アパートメント」では、ギャラリーの真ん中に食卓を模したテーブルを配置しようと思っているのですが
こちらの「ティーポットブローチ」はそのテーブルに並べる予定です。
ティーポットたちが華やかなドレスをまとって踊っているようにも見える楽しいブローチ。
メインの生地はコーデュロイだったりネルだったりと、秋冬のあたたかな素材を使っています。
バッグのすみっこに、ニットの胸に。華やかな「ティーポットブローチ」をぜひ。
「本の話」
ティーポットブローチの下に敷いたのは「Brides in VOGUE」という洋書で、大切にしている本です。
1910年代から80年代までのウェディングドレスの年代ごとの流行を紹介した本で、
どのページもスタイリングやモデル(女優も)がすごく素敵なんです。
私が一番好きなのはやっぱり1920年代のドレス。
この洋書は高校生の時に、札幌の雑貨屋さん「pasque」というお店で
お小遣いを使って買いました。
いまでこそ、どんな書店にも洋書コーナーはありますが、
当時は丸善とpasqueくらいにしかなかったように記憶しています。
おしゃれな洋書は珍しく、しかも高価でした。
そしてそんな洋書にはたいていブーブー紙と呼んでいた半透明のトレーシングペーパーがかかっていて、
それを破らないようにそっと扱う所作も特別な感じがしたものです。